喫冬喫夏 20090725
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黒とテレキャスター

その一報を聞いてから、漸く三日程経った。
僕が最も愛し、尊敬し、心から胸を熱くする事が出来る、
ロックンロールの塊のようなその人が、亡くなった。
ex.thee michelle gun elephantのアベフトシさん。
その事実は信じられないし、信じたくは決してない。
が、様々なニュースと人々の反応が、それをさせてくれない。
名だたるアーティストの方々のコメントや、公式ホームページの言葉。

事実なんだろう。そうなんだろう。

アベさんのギターが心から好きで、次の活動を楽しみにしていた。
活動する予定もあって、今年のライジングにも出演予定であった事も
知った。
残念でならない、と云うより、悔しい。
アベさんの新しい音を聴く機会を、逸してしまった事が、何より悔しい。
貴方の掻き鳴らすその雷鳴のような、魂を揺るがすような響き。
貴方の代名詞であるカッティング。一瞬にして貴方のそれと解るリフ。
ストイックなプレイスタイル。細身に黒が似合う立ち姿。
その姿をこの眼で見る事が最早出来ないのだと云う事が、哀しくて悔しい。

アベさんが亡くなったと云う知らせを知った時、偶然にも、
アベさんが好きな親友と二人だった。
一時間は、人眼も憚らず都会の真ん中で泣き腫らした。
その時は単純に亡くなったと云う事実が哀しかったのだと想う。
その後、そして今は、悔しい想いで歯噛みをしている。

あなたのようなかっこいいひとは、ほかにいない。

僕個人の話になると、限りがないのだけれど
未だに上手くないギター、貴方に憧れて始めたのだ。
何をどうしていいか解らないけれど、貴方のようなギターが弾きたくて、
きらきらと光るギターが並ぶ楽器屋へ飛び込んだ。
僕は少ないバイト代を握り締めて、店員さんに云ったのだ。
「アベフトシみたいな音が出したいんです。」
店員さんは笑ったりしないで、僕にマーシャルのアンプを勧めてくれた。
嬉しかった。小さいアンプなのだけれど、貴方が使っているものと、
同じロゴが入っていた。
その年の誕生日に、親友が僕にカールコードを贈ってくれた。嬉しかった。
「シャンデリア」を弾きこなすのが、今でも僕の夢。

初めてミッシェルを聴いた時、轟音には喜怒哀楽全ての感情が
込められていて、更にはその何処にも属さない気持ちをも
表現するフレーズや音があるのだ、と知った。
貴方のギターがなければ、僕はこんなにも音楽が好きになる事はなかった。

多分、同じ事を想っている人は沢山いると想う。
この世界からいなくなるには早過ぎる人だ。
世界には、僕にはまだ貴方が必要だったのだ。
しかし、引き止める事は出来ない。悔しい。寂しい。哀しい。
貴方もそう想ってはいないか。
まだ弾きたいフレーズが山のようにあったんではないか。
やりたいバンドがあったんではないか。

僕は全く、貴方のようにかっこよく生きる事が出来ないでいるけれども、
これから、本当に、色々な事、頑張るので
頑張って生きるので
貴方の子供を名乗っていいですか。
「僕はアベフトシのギターを聴いて育った」って、
僕の友達や、知り合いや、仕事先の人、これから出逢う人にも、
そう云ってもいいですか。
貴方のファンである事が既に誇りです。
少しでも、貴方が素敵な人である事、これからも色んな人に話したい。
貴方の音を知らない人がいたら、是非にと聴いて貰いたい。

貴方の音は、レコードやDVDで沢山残っているから、まだまだずっと
聴き続けます。

空の上にあるのか、地の果てにあるのかは解らないけれど、この世界では
ない何処かに、今貴方はいると想います。
そこでまた、存分に新しい音を響かせて下さい。
黒のスーツで、例のテレキャスターで。
まだ先の事だと想うけれど、僕がそちらへ行った時、また貴方のライブへ
行きますから、宜しくお願いします。

一ファンからの瑣末な言葉ですが、本当に貴方が大好きです。

何だか不思議な気がして余り書きたくない言葉ですが、この世界の法則と
礼儀に従って。
御冥福を心から、お祈り致します。ありがとう。


( 2009.07.25 ) ( 音楽 ) ( COMMENT:0 ) ( TRACKBACK:1 )